
少し季節はずれですが、K邸の屋上緑化の測定結果のご報告です。
施主であるKさんは、「屋上緑化をすると涼しさが全然違う。」とおっしゃっていたのですが、断熱をしっかりしていれば、屋上緑化の効果ってあまり数値にはでないのでは・・・。と思っていました。が、覆されました。
グラフとにらめっこしないといけませんが、興味深い結果が出ましたので、少々お付き合いください。
K邸の「屋上緑化をしている部分」と「屋上緑化をしていない部分(以下、普通屋根)」についての温度を測りました。測定ポイントは次のとおりです。
■屋上緑化
・屋上緑化表面
・屋上緑化の土中(深さ5cm、10cm、15cm)
・屋上緑化直下の天井面
・屋上緑化直下の室内空気
■普通屋根
・普通屋根表面
・普通屋根直下の天井面
・普通屋根直下の室内空気
その一部をグラフにしました。2008年8月14日~17日のデータです。冷房はしていません。
まずは、普通屋根(しっかり断熱は入っています)の場合を見てみましょう。下図が、普通屋根の温度変動です。

屋根表面は75℃以上になってしまいます。その時でも天井表面は32℃に抑えられています。これは、ネオマフォーム70mmの断熱効果です。グラフの天井表面(水色)と室内空気(ピンク)の↓に注目してください。天井表面(水色)と室内空気(ピンク)は、ほぼ同じ温度です。
次に屋上緑化(断熱もしっかり入っています)の温度変動を見てみましょう。

このグラフでも天井表面(水色)と室内空気(ピンク)の↑に注目してみましょう。天井表面(水色)の方が室内空気(ピンク)より1℃程度低くなっています。
この2つのグラフより、普通屋根よりも屋上緑化の方が、日中の天井面温度の上昇が抑えられているのがわかります。
これらを室内の空気温度と天井表面温度の関係を見てみましょう(下図。データは8/6~9/17)。横軸が室内空気温度、縦軸が天井表面温度です。オレンジ色が普通屋根、ミドリ色が屋上緑化の温度をプロットしたものです。45°の点線は室内空気と天井表面が同じ温度であることを示します。点線より上は室内空気温度より天井表面温度の方が「高い」ということを示します。屋上緑化(ミドリ)の方が点線より下にあり、普通屋根に比べて屋上緑化の方が放射環境は良好な傾向があるようです。

「屋上緑化の効果はこのくらいしかないの?」 と、思われる方もいらっしゃるかもしれません。普通屋根と屋上緑化の温度差が小さいのは、普通屋根もしっかり断熱をしているからです。また、この1℃程度の差は体感としては、とても大きいようです。部屋に入っても、「モワッ」とか「ムッ」とした暑さがありません。(開口部は、みどりのカーテンで日射遮蔽もしています。) K邸の北側には、緑地帯が広がっていて、そこからの風が室内を通り抜けていることもあって、室内の空気温度が多少高くても、Kさんは快適にお住まいになっています。
屋上緑化の効果は、室内の放射環境を良くするだけではありません。普通の屋根の表面温度は70℃以上に及びますが、屋上緑化の表面は、高くても40℃程度です。近隣へも優しい熱環境を提供してくれます。この涼しさの源は、水です。最近の集中豪雨は、各地で悪さをはたらいていますが、屋上緑化は水を一時的に溜めてくれるという役目も担っています。K邸の屋上緑化の給水は雨水のみです。実は、水だけでなく、種も自然に頼っています。風や鳥たちが運んでくれた雑草が主役の緑化です。
S邸も測定をしました。まとまりましたら、報告します(いつになるか、、、)ので、またお付き合いください。(小田桐直子)