景気対策で、省エネルギーに貢献する三大家電、冷蔵庫、エアコン、テレビにエコアクションポイントを販売価格の5%付けるという政策はニュースでも話題になり、記憶に新しいところでしょう。このところ、景気対策に「環境」がつけば、何でも許されるみたいに、エコエコ政策が打ち出されているようにも思います。
確かに、こんな時じゃないと「環境」に予算がつかないのかも知れないけど、
「急いては事を為損じる」ということわざもあり、
軽躁なる日本人気質、ちょっと落ち着いて考えなければならないように思います。
先日、eco japan cup 2009の第1回目の実行委員会が行われ、東大教授の山本良一実行委員長が官僚の実行委員方々を前に、「この国のポリシーは一本筋が通っていない。地球温暖化の問題は国連の科学者の予測を遥かに超えて、急速に進んでいる。国家安全保障の問題であるにも関わらず、高速道路の千円化など自動車排出のCO2削減のために車に乗らないことを進めなければならない時に、景気対策といえども逆行している。こんな政策を取るべきではない。」と嘆かれ、今年は具体的なグリーンニューディール政策の提案も求めようではないかと、1部門追加され、ポリシー部門が創設されることとなった。
私としては『よっしゃ!v(^_^)v』という感じ。
eco japan cup 2007の大リニューアルの際に、私の企画としては入れたかった部門なのであったから。当時は、まだ体制を作るのに精一杯で、政策まで入れることは、ちょっと難儀であったので見送ったのだったけど、今年はこの異常なる不景気、環境省も総務省も昨年以上に本腰を入れ、グリーンニューディール政策の一つに位置づけ、「オールジャパンでの取組みを強化する」という意識のもと、主催に政策投資銀行に参加いただくことも勧めてくれてたり、実行委員会に他省庁が参加する体制もできました。
環境に関わるところを所管する官庁横串で顔を連ねた今年の体制だからこそ、ポリシー部門を始める意義があるかなと思います。
企業の協力体制も強化されてきて、人々の志、ソーシャルな繋がりによって産官学恊働の真摯な政策が大きく実現していく感じがします。
ただ、ちょっと寂しいのは、自分はこの事業の裏方なので、コンテストに応募できないことかな。"エコフロー事業"つくって以来、"エコ森金融"とか、この"eco japan cup"とか、政策プランつくるのが趣味というか癖なので、放っておいても色々アイデアが沸き上って出てきてしまうのだけど、せっかくできたポリシー部門に出せない立場であるのはねえ‥
最近、考えたのは、"エコ「ハウス」アクションポイント制度"。
冒頭、話をした環境配慮製品に税金でポイントあげちゃうという、あれなのだけど。
エコアクションポイントの本来の政策は、環境商品を認定して公的販促をかける広告代として、企業がポイント費用を負担するというのが、そもそもの建て付け。
現在進行形で環境省のモデル事業が実施されているところ。委託先として、JTBが引き受けて仕組みづくりの調査をしてます。
景気対策として、予算を形状しなければならなかった背景もあり、官僚方が考えたのが家電三種の"5%還元のエコアクションポイント"であったというところ。
これは、政策として良かったのか悪かったのか、私には判断つかない。
この政策が打ち出され、年明け好調だった家電の売上げは途端に落ち込んでしまった。
苦肉の策として、大手家電販売店は政策に先立ってポイント還元を実施して、客の呼び戻しに奮闘する結果となっています。
私は個人的には、家電買換え政策はあんまり良しとは思っていません。なぜなら、テレビも地デジ化で、否応無しにも買換えせねばならないわけですし、エアコンだって冷蔵庫だって、せいぜい10年も経てば買換える必需品です。長期的ビジョンで、地球温暖化政策を考えたら、必ず変わるものに無理して税金を投じて買換えさせなくてもと思います。むしろ、早期の大幅な技術進歩を促すために、研究助成を拡充するとか、研究費に関わる経費のカウントの仕方を変え、税制優遇するとか企業側に手立てをすべきではないかと思います。
民生家庭部門のCO2排出の増加は相変わらず、右肩上がり。背景には核家族化、高齢者の一人暮らしが増え、世帯数が増加しているともいわれています。一人暮らしでも、冷蔵庫、テレビ、エアコンは揃っている。そうなると、基礎的な消費エネルギーが単身者世帯の増加とともに増えていってしまうことになります。
そうなると、今の家電買換え政策はどうなのでしょう?
地方公共団体が地域住民に省エネ家電への買換えを促し、温暖化対策の地域目標計画を図るのは理解できますが、国という世界を見ながら、国家の有り様、国全体を見渡さなければならないところが、消費者にちまちまと直接還元政策とは何とも視野が狭いように思えてなりません。
量販店の冷蔵庫売場を覗けば、省エネNo.1の張り紙が目立つのは大型冷蔵庫ばかり。
単身者用の小型冷蔵庫に至っては、150Lクラスで500Lクラスの消費エネルギーを使う浪エネ物ばかり。エアコンも然り。エアコンに関しては、まだまだ言いたいことは山ほどあるけど、それは後にして、この政策は正しいのか??
高額で売れる機器しか、省エネ研究はされていないのか、作っても高くて売れないのか?本来、日本の現状を踏まえれば、この小型冷蔵庫やエアコンという家電の性能をどう向上させ、普及させるかをメーカーとともに考えるべきではないでしょうか。
全ての機器が省エネルギーとなってしまえば、消費者の選択行動を促す必要もない。何を選んでも省エネルギーなのだから文句もあるまい。
それより何より、問題なのは住宅の建物そのものです。
次世代省エネルギー基準住宅の普及は遅々として進んでいないのが現状なのです。
建物は一度建てたら、数十年使い続ける。家電とは雲泥の差がある長期利用のものです。
ここの政策がちゃんとできていない!
国土交通省住宅局は建築基準法で規制をかける気がまったくないし。
本来、民生家庭部門の省エネ化は箱(建物)からでしょう。
専門的な話になりますが、建築の設備としてのエアコンなど、現状の古いダメ機器を高性能な省エネ機器に変えれば、確かに機器の性能が上がったために省エネルギー化します。一方、機器はそのままで断熱改修などして、建物の性能を上げたとする。それでも、省エネルギー化は実現します。さて、その次ですが、性能を直さずに高性能機器を入れ、後に建物性能を上げた場合、と、建物性能を上げて、後に高性能機器を入れた場合、普通にこの関係だけを見れば、どちらも結果同じ性能になったと考える人が大多数でしょう。それは間違いです。性能の悪いうちに入れた機器は、性能が悪い建物に合わせた能力がないと人間の快適さが保てませんから、ダメ性能に適応した大型機器を導入せざるを得ません。一方、建物性能を良くした方は、設備機器を選定する際、改善された性能の建物にベストマッチした大きさを選ぶことになり、小さい機器で充分ということになります。機械は、使い方によって効率が大きく違ってきます。性能に対して機器が大き過ぎれば稼働率が悪くなって効率が下がってしまいます。建築の性能と機器の選定はバランスが大事なのです。ただ、寄せ集めれば何とかなるというものではありません。ですので、今、販売されているエアコンなども最悪の環境を想定して「効きが悪い」というクレームを防ぐことを前提に6畳〜8畳用とか表示されているので、オーバースペックであるケースは少なくありませんし、省エネ機器となって電気代が下がれば、今まで払えてきたコストですから、コスト削減よりも人の常として、ついつい快適を求め各部屋に機器を買い足していくことも現実でしょう。
建物性能が良ければ、各部屋にエアコン設置しなくても、一家に一台、小さなエアコンでも充分暖まるということも可能になるわけですから、買い足す必要がないということになります。
今の政策は、本当に効果のある政策なのでしょうか?
家電の設置個数も減らさなければならないわけですし、プラズマディスプレーが嗜好されるような家電の大型化傾向も考えなければならないと思います。
私が提案したいと思う"エコ「ハウス」アクションポイント制度"は、景気対策も考えたら、アクションポイントの還元を大物の建物から始めるべきという提案です。従来なら土木などの大型公共工事をバラまくのでしょう。凍結していた高速道路の建設再開の話も聞きますが、それはそれとして、大きくお金の流れをつくらないと、経済全般には影響しないわけです。なるべく大物の利益を発生させなければ、次に繋がらないのですから、企業側ではなくコンシューマー側に政策を講じて金を流すなら、最大の費用のかかる部分を最初にターゲットとすべきであり、短期処方であれば、一時に手にする額が大きくなければなりませんし、大きな買い物をして小さな買い物がより小さく見える心理を利用し、消費を促すのです。
(まさに、行動経済学に基づく政策です。)
そこで、コンシューマー最大の買い物、住宅。そして、一番環境に影響を与える住宅をターゲットに環境経済政策を提案します。
先ず、次世代省エネルギー基準を満たす住宅の新築、改修について、建設コストの3〜5%をエコアクション利用ポイントとして、還元するという提案です。財源は単純。自ら建設費に払う消費税をそのまま還元するだけですから、特別消費税減税というところでしょうか?
エコハウス減税として、10年間、ローンの残債の1%を所得税減税するというローンの利子補給制度はありますが、これは所得税を納税できている方々にしか恩恵はありません。年金暮らしの高齢者やコツコツ貯蓄してきた方々がエコハウスを建て、地球温暖化防止に貢献しようとしてもこの政策では報われません。これは、育児世代のためのローン減税として良いと思いますので、そのままにして、エコハウスを建てることでの増額分の負担を支援するという名目で、消費税分でポイント還元する政策はありではないでしょうか?ただ、環境配慮部分の工事を抜き出して還元対象費用を審査するなんてことになると手間が面倒くさくて「えい、もういいや!」という人が多く出ますので、ここは単純に建設総額を対象に割合を決め、贅沢品に税金は投じたくないというのであれば、最高額が200万円とか300万円とか上限を設けると良いのではないでしょうか。
そして、重要なことはこれは単純な景気対策ではありません。地球温暖化防止の政策ですから、家電のエコアクションポイントのように何でも使えるお金を還元するのでは良くありません。エコハウスで還元されるアクションポイントは、カードで渡され、エコアクション商品しか使えないという括りを作ります。
エコハウスを建てたついでに買換える家電も、このアクションポイントで買おうとすれば省エネトップランナー商品しか買えないわけです。
電化製品を買えるだけじゃなく食品や日用品や旅行でも使えるようにして、フードマイレージの少ないもの、リサイクル還元率の高いもの、グリーンツーリズムなどグリーンニューディールとなる産業への誘導もこの"エコ「ハウス」アクションポイント制度"で行うことが考えられます。ポイント還元される建物の性能も次世代省エネルギー基準以上という高いベースとすれば、現在、エコハウスとは名ばかりのイメージ広告で販売しているハウスメーカーの白黒もつけることができるようになります。
不動産不況で売れ残っているマンションや建売りも次世代省エネルギー基準にリフォームして再販売するかも知れません。
環境配慮が遅れていて、この不況で冷え込んでいる建築業界へ風を吹かせて、環境産業全体を活気づかせる政策。これから販売されるエコカーも含めても良いかも知れませんが、大口の処へ対処し、全体を巻き込む政策。
家電のエコアクションポイントより、ストーリーは「エコ」で完結していると思われませんか?